2000〜2004年に作曲された楽曲を収録。特にメロディアスな作品を集めた作品集である。作者の音楽はとても叙情的で絵画的である。純音楽を基礎としてシンセサイザーや和音が織り込まれているその音色は、切なくもあり、懐かしく、柔らかく、そして暖かい。心にフッと風景を浮かばせてしまう作者の音色は「心で聴く」という言葉がふさわしい。楽曲の一部を紹介してみよう。TOMIYAMA SYMPHONYは作者に所縁のある島根県の富山町という緑豊かで穏やかな景色に包まれた地方を、明け方から昼、昼から夕暮れ、夜、と時間を追って三楽章形式で表現されている。シンセ音の上にいろいろな音色が塗り重ねられていき、やや民謡的な旋律とあいまって展開されてゆく。楽曲が進行してゆくと共に自分も富山での1日を過ごしているような気持ちになってゆくのだ。Dear1とDear2は別の曲であるが、Dearには作者が若くして亡くなった友人に捧げた楽曲であり特別な想いが込められている。実はDear2は私が初めて作者の音楽に触れた時に曲に込められた想いを知らなかったのだが、私も同じく若くして亡くした友人を思い浮かべ柔らかな涙を流した曲である。Dear1は未公開曲であったのだが、Dear2の収録を墓前に報告に参った時に作者からDear1の収録の提案があった。私も好きな楽曲であったので公開出来ることが嬉しく、初回のExtra trackとして収録することになった。